王妃の資格 17

     「ダ・・・」
      拒もうとしたがそれをフィオスは許さなかった。
     「!」
     グイグイとフィアの中に入るフィオス。
     ゆっくりと、やさしく、激しく、フィアの中で動く。
     
     やがて。
     唇と唇が離れる。
     
     「お前は、私のものだ」
     自信に満ちた声。
     フィアは、消えてしまいたかった。
     皆に見られている事に、耐えられなかった。
     「・・・なんだ、嫌なのか?」
     ジッとみつめられる。
     視線が痛い。
     
     「私でいいの?私は・・・」
     「おまえは、王妃になる資格が十分にある」
     「そうでしょうか・・・?」
     「おまえは、自分をわかっていないがいい」
     やさしく冷静な声。
     「わたしは、お前を選んだ」
     暫く、フィアは沈黙を守った。
     
     「・・・わたくしは、確かに、あなた様を愛しております」
     フィアは、静かな微笑みを、フィオスに向けた。
     「あなた様を、とわに愛する事を、誓います」
     そっと、大切そうに、自分の気持ちを言葉にしていく。
     言い終わると同時に、フィアはフィオスの腕の中にいた。
     よしよし、と頭を撫でられる。
     「・・・フィオス、私はそんなに子供じゃないわ?」
     うれしくない訳ではないが、講義するフィア。
     「すぐに式を挙げよう、今から用意する」
     フィオスはフィアに笑いかける。 
     
     そこには、身分は関係ない、ただのフィアとフィオスがいた。
 
     周囲を見渡すと、いつの間にか、二人を残して、誰もいなくなっていた。
     フィオスが手で命令したのだが、フィアは皆が気を使ってくれたのだと勘違いをした。
     それを確認すると、フィアは、フィオスの頬に、自分が出来る最高のキスをした。
     「あなたと話したい事が、沢山ありすぎるわ」
     「おまえに説明しなくてはいけない事が沢山ある」
     みつめあう瞳と瞳。
     

     二人は何も言わず、抱きしめ合った。
     
     


     その夜。
     二人は沢山の話をした。
     
     そして。

     
     二人だけの聖なる誓を交わし、
     二人は、二人を受け入れ、
       
     二人は、二人になり、
     
     二人は、すべてに祝福された――。