王妃の資格 16

       (え・・・この声・・は・・)
      フィアは品のある手で顔をくいっとあげさせられる。
      「まあ・・・合格といってやろうか、フィア?」
      やさしく、情熱的な瞳。
      「!」
      言葉をなくすフィア。
      それとも出てこないのか。
      「まあ、おまえはそういう女だな」
      聞きなれた、やさしく強い冷静な声。
      姫君たちは思わず顔を上げ、二人を見た。
      
      そこには紫の瞳をもつ正装したデントフォール王、ハンス六世が、雄々しく立っていた。
      
      「フィオス・・・・!?」
      思わずつぶやくフィア。


      

      どれほどの時間がたったのだろう。
      一瞬か。それとも永遠か。
      
      フィアはクラクラする頭を必死につかい、状況を飲み込もうとしている。
      
      「驚いたか?」
      フィアの頬に手が触れる。
      「・・・・ええ」
      やっと言葉が出るフィア。
      
      「怒っているか?」
      
      「いえ・・・、あなたはそういう人だわ。それはわかっておりました。・・・・でも、」
      すこし間をおき、話し出すフィア。
      そう、この人は、ずっと、私を試していたのだ。
      だが、不思議と怒りはない。
      そう、彼が取った行動を、フィアは理解出来たからだ。

      「おまえを、私の妻に望む」
      
      「わたくしは・・・・」
      
      周囲は、二人を見ていた。
      
      戸惑いを隠せないフィア。
      うろたえるフィアの唇を、フィオスがふさいだ。

      その場にいた者が皆、驚きを含んだ表情で二人を見つめていた。