王妃の資格 18
数ヵ月後。
デントフォール王、ハンス6世はアース王国の姫、フィア・フィ・アースを
妻に向かえた。
その年の終わり。
王妃フィアは双子の王子と姫を出産する。
その三年後、驚異の速さでハンス6世は、次々と領地を広げ、初代皇帝の座についた。
二人は子宝に恵まれ、4人の王子と6人の姫君を授かる。
そのやさしさと笑顔で民に愛された王妃、フィアは36歳という若さで
病死し、彼女を惜しむ民の手によって、「愛の歌」という伝記が広められる。
「どうか、わたくしのことは忘れて、新しい后を迎えてください。」
そういい残した彼女の言葉を、ハンス6世は聞こうとしなかった。
そう、彼は生涯、妃を迎えることなく、フィア一人を愛しぬいたのだ。
ハンス6世がいつ、亡くなったかは、定かではない。
王妃を愛するあまり悲しみにくれ、病死したとも、
皇帝の座を譲ると同時に、引退して、歴史から姿を消したとも言われている。
ーその後。
帝国は栄えに栄え、平和な時代が永く永く続いた――。