王妃の資格 14

     「ねえ、フィア、あなたはその服装でよろしいの?」
     「え?」
     「確かに、あなたに似合っているけれど、全部イミテーションだわ」
     フィアはなにもいわずに微笑んだ。
     「あなたも、ずごく似合っている」

     純白のドレスに、エメラルドの瞳と同じ色の髪飾り。オパールに似た淡い色のペンダント。
     華奢な体が、より美しく見え、イミテーションの宝石達もうまく彼女と調和していた。
     
     対して、アンジェローズは華やかで豪華だった。
     紫のドレスに、金の腕輪、ダイヤモンドと彼女を美しくひきたたせている。
     
     アンジェローズが何かを話しかけようとした時。

     「王が今から参られる。皆、控えよ」
     大きな声が室内に響いた。
     
     

     王はとても遠い、一番奥の、王専用の扉から入って来た。
     皆が下を向いているので、顔はもちろん、見えない。
     
     王の足音だけが、聞こえる。
     
     しばらくして、足音は消えた。
     どうやら、王座にちゃんとついたようだ。
     
     
     王のかわりに言葉を伝える青年は、はじめのあいさつを軽くのべると、
     本題に入っていった。
      
     「もしも、王の后になったならば、どういう后になりたいか、一人ずつ答えていただきたい」
     
     姫君たちは、予想もしなかった質問にうろたえる。
     わかりません、考えておりませんでした、と、同じような言葉が飛び交う。
     
     そんな中。
     「わたくしは、王の、そして民の理想の王妃になるよう、勤めますわ」
     自信に満ちた声で、アンジェローズは答えた。