王妃の資格 11
その夜。
フィアは一睡も出来ないでいた。
考えることが沢山ありすぎた。
まずは、試験のこと。
フィオスには、考えてみれば道中色々試されていたようにも思う。
きっと、他の姫達にも同じ事をしたのだろう。
(それはわかるわ、でも・・・・)
では、愛しているといったのはどうなのだろう?
(私を試していたのかしら?でも、そうではないはずだわ。)
フィアは彼を信じていた。。
(それに・・)
真剣な紫の瞳が頭をよぎる。
(あの眼差しは、きっと本物だわ)
でも、とフィアは思う。
(私は、一国の姫。私に出来る最大のことをしたいと思って、今、ここにいる)
彼女の決心は揺らいでないかのように見えた。だが、フィアの頭の中は、
フィオスのことでいっぱいだった。
(フィオスは私を愛していると言ってくれた)
フィオスとのキスを思い出し、安堵する自分がここにいる。
(なんだか、すごく安心する・・・)
まるで、彼の腕の中にいるような、そんな暖かさに包まれ、フィアは眠りにつくことができた。
朝。
「よく眠れたか?」
「あまり。どうしよう、寝不足だわ」
「まあ、そうだろうな」
「・・・あなたのことを考えていたとでも?」
本当はそうだが、そんなことは言えない。
「ハハ、言うようになったな」
ガラガラ。
馬車が揺れる。
「まあ、試験のことだろう?」
「ずごく迷ったの」
「俺のことか?」
「私は、確かにあなたを愛してる。でも」
「国のため、民のため、王妃になると?」
フィアはフィオスに微笑む。
「まだ、決まってないわ。デントフォール王にお会いしてないし。まだ選んでもらえるかどうか・・」
「王は君を選ぶ。」
「どうして?王はまだ私にあってないわ。一度も」
「姫君達のことは俺が報告することになっている。安心しろ、お前が一番よかった」
「王の好みは大人の女性なのでしょう?」
クッとふきだすフィオス。
「まあ・・そうだな。王に、愛している者がいるかどうか聞かれるはずだ。
その時に、いないと言えばいい。それで最終試験は通る」
「うれしくないわ、教えてくれない方がよかった。私にうそをつけと?」
まっすぐにフィオスを見るフィア。
「じゃ、本当のことを言うといい。王はお前を選ばなくなるが、いいのか?」
「それは・・・・」
「まあ、その時は、俺のものになってくれるのかな?フィア姫?」
「そういうのは、好きじゃないわ」
「本当は、それでいいかもしれないのにか?」
急に真剣な表情になるフィオス。
二人は見つめ合った。
馬車が止まる。
どうやら目的地に着いたようだ。