王妃の資格
<フィオス編18>


      フィアはうつむいた。
      皆に見られていることが恥ずかしいのだろう。
      フィオスは手で命令し、後の者をさげさせた。
      「・・・なんだ、嫌なのか?」
      ジッと視線でフィアを追いつめる。
      「私でいいの?私は・・・」
      「おまえは、王妃になる資格が十分にある」
      「そうでしょうか・・・?」
      「おまえは、自分をわかっていないがいい」
      やさしく冷静な声でフィアにかたりかける。
      「わたしは、お前を選んだ」
      暫く、フィアは沈黙を守った。

      「・・・わたくしは、確かに、あなた様を愛しております」
      フィアは、静かな微笑みを、フィオスに向けた。
      「あなた様を、とわに愛する事を、誓います」
      そっと、大切そうに、自分の気持ちを言葉にしていく。
      フィオスはフィアを自分の腕の中にとらえる。
      よしよし、と頭を撫でるフィオス。
      「・・・フィオス、私はそんなに子供じゃないわ?」
      あまりフィアは喜んでないようだ。
      フィオスは、フィアが愛おしくて、仕方がなかった。
      (結婚するまではと、思っていたが、もう無理だな)
      フィオスはフィアが欲しかった。
      体中で、心で、フィアを感じたかった。
      「すぐに式を挙げよう、今から用意する」
     
      「あなたと話したい事が、沢山ありすぎるわ」
      「おまえに説明しなくてはいけない事が沢山ある」
      みつめあう瞳と瞳。
     

      二人は何も言わず、抱きしめ合った。