王妃の資格
<フィオス編END>

  
     

       その夜。
       二人は沢山の話をした。
     
       そして。

     
       二人だけの聖なる誓を交わし、
       二人は、二人を受け入れ、
       
       二人は、二人になり、
     
       二人は、すべてに祝福された――。
     

        数ヵ月後。
        
        デントフォール王、ハンス6世はアース王国の姫、フィア・フィ・アースを
        妻に向かえた。
        
        その年の終わり。
        王妃フィアは双子の王子と姫を出産する。
        
        



        その三年後、驚異の速さでハンス6世は、次々と領地を広げ、初代皇帝の座についた。
        二人は子宝に恵まれ、4人の王子と6人の姫君を授かる。
        
        
        そのやさしさと笑顔で民に愛された王妃、フィアは36歳という若さで
        病死し、彼女を惜しむ民の手によって、「愛の歌」という伝記が広められる。
        「どうか、わたくしのことは忘れて、新しい后を迎えてください。」
        そういい残した彼女の言葉を、ハンス6世は聞こうとしなかった。
        そう、彼は生涯、妃を迎えることなく、フィア一人を愛しぬいたのだ。
        
        ハンス6世がいつ、亡くなったかは、定かではない。
        
        王妃を愛するあまり悲しみにくれ、病死したとも、
        皇帝の座を譲ると同時に、引退して、歴史から姿を消したとも言われている。
         
        
        
        

        ーその後。
        帝国は栄えに栄え、平和な時代が永く永く続いた――。
          
        
        
        

                                  <END>