王妃の資格
<フィオス編17>



      「まあ・・・合格といってやろうか、フィア?」
      フィオスは心とは反対の言葉を選んだ。
      もともと、ほめる事をあまりしない性格だ。
      これでも十分にほめたつもりでいる。
      「!」
      フィアは言葉をなくしていた。
      「まあ、おまえはそういう女だな」
      フィアの聞きなれた、やさしく強い冷静な声。
      姫君たちは思わず顔を上げ、二人を見た。
      
      そこには紫の瞳をもつ正装したデントフォール王、ハンス六世、フィオスが、雄々しく立っていた。
      
      「フィオス・・・・!?」
      思わずつぶやくフィア。
      
      「驚いたか?」
      やさしく、フィアの頬に手が触れる。
      「・・・・ええ」
      やっと言葉が出るフィア。
      
      「怒っているか?」
      「いえ・・・、あなたはそういう人だわ。それはわかっておりました。・・・・でも」
      フィアは、必死にフィオスの取った行動を理解しようとしていた。
      
      
「おまえを、私の妻に望む」
      
      「わたくしは・・・・」
      (戸惑うのも、無理はない)
      
      周囲は、二人を見ていた。
      
      フィオスは、うろたえるフィアの唇をふさいだ。
      まるで、フィアは自分のものだと見せつけるように。
      (やはり、甘いな・・・)

      その場にいた者が皆、驚きを含んだ表情で二人を見つめていた。
      
      
「ダ・・・」
       拒もうとするフィアを、フィオスは許さなかった。
      「!」
      グイグイとフィアの中に入るフィオス。
      ゆっくりと、やさしく、激しく、フィアの中で動く。
      (わたしも、余裕がないな)
      やがて。
      唇と唇が離れる。
      
      「お前は、私のものだ」