王妃の資格
<フィオス編13>


       朝。
       小鳥のさえずりが聞こえ、清々しかった。
       太陽の光が差し込み、フィオスは目をあける。
       (いつの間にか、眠れたのか?)
       フィオスはなかなか寝付けなかった事を思い出す。
       支度をし、馬車の中に入る。
       くすくすと笑い声が聞こえる。
       「おかしいわね、ドリス?」
       「フィア様、どうか笑わないで下さい」
       侍女は困った顔をしたが、フィアと笑いあった。
       フィアが馬車の中へと入ってくる。
       フィオスはそっとフィアを見た。
       フィアはお辞儀をし、フィオスに挨拶をする。
       「よく眠れたか?」
       「あまり。どうしよう、寝不足だわ」
       「まあ、そうだろうな」
       「・・・あなたのことを考えていたとでも?」
       そうじゃないのか、と言おうとしたが、フィオスはやめた。
       「まあ、試験のことだろう?」
       「ずごく迷ったの」
       「俺のことか?」
       「私は、確かにあなたを愛してる。でも」
       愛していると言われ、自然に心が弾む。
       「国のため、民のため、王妃になると?」
       フィアはフィオスに微笑む。
       「まだ、決まってないわ。デントフォール王にお会いしてないし。まだ選んでもらえるかどうか・・」
       「王は君を選ぶ」
       「どうして?王はまだ私にあってないわ。一度も」
       「姫君達のことは俺が報告することになっている。安心しろ、お前が一番よかった」
       「王の好みは大人の女性なのでしょう?」
       君だ。そう言いたいが、言えないフィオス。
       くっと思わずふきだす。
       そして、また、彼女を試すフィオス。
       「まあ・・そうだな。王に、愛している者がいるかどうか聞かれるはずだ。
       その時に、いないと言えばいい。それで最終試験は通る」
       (もしも、本当にうそをつくなら、私は君を愛さない。)
       決心するフィオス。
       「うれしくないわ、教えてくれない方がよかった。私にうそをつけと?」
       まっすぐにフィオスを見るフィア。
       「じゃ、本当のことを言うといい。王はお前を選ばなくなるが、いいのか?」
       「それは・・・・」
       「まあ、その時は、俺のものになってくれるのかな?フィア姫?」
       「そういうのは、好きじゃないわ。」
       「本当は、それでいいかもしれないのにか?」
       急に真剣な表情になるフィオス。
       二人は見つめ合った。
       


       馬車が止まる。
       どうやら目的地に着いたようだ。